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空想・建築・格差社会

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ニーマイヤー104歳の最終講義

空想とはなにか。
そう問われたら、私はこう答える。
「空想とは、よりよい社会を探求する力である」と。

格差社会の底辺に押しやられている、現代の若者たちよ。
「自分たちで世の中は変えられる」という希望を決して捨ててはならない。

 

──オスカー・ニーマイヤー

2012 年、オスカー・ニーマイヤー104 歳。この本に綴られているのは、1世紀を超えて生涯現役を貫いた不出世の建築家が、格差の時代に生きる現代の若者たちに向けて放った、彼の最後のメッセージである。
「104 年の人生を振り返って、改めて思う。この世の中は間違っている。社会は変わらなければならない。持たざるものは、その貧しさから抜け出さなければならず、持つものは、占有する富を減らさなければならない」。建築界の絶対的な主役を務め続けたニーマイヤー。彼の建築は、常に社会をよりよくすることに向けられていた。「建築は、単にきっかけを作るに過ぎない。重要なのは、人の日常の暮らしであり、人である。人は、心と感情を持ち、正義と美に飢え、快適と刺激を渇望する、不思議な生き物である。これを、決して忘れてはならない」。彼の建築の根底にある、ゆるぎない信念を持って、彼は呼びかける。「それぞれが、自分の小さな役割を果たせばよいのだ。自分なりのリスクを背負い、自分の考えを持ち、自分の未来を発明する。それだけで、世の中は変わるはずだ」と。空想を膨らませ、驚き、創造することによってのみ、私たちは、私たちの生活の周辺に、よりよい世界の姿を想い描くことができる。前代未聞の未来都市ブラジリアを設計し、激動の時代を生き抜いた104 歳の建築家。彼は「希望と空想と創造の力をもってすれば、世界はまだ変えられる」という渾身の遺言をこの本に残し、105 歳の誕生日を10 日後にひかえた2012 年12 月5 日、その長い生涯を閉じた。

──あとは、彼の後を生きる、私たち次第である。

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